提言書・資料等

2020年5月22日 【提言】 「北部九州経済圏(NBR)」構想下での経済発展 北部九州経済圏検討委員会

迎える異次元の人口減少(高齢化)が経済の成長を抑制する、との不安が喧伝されている。確かに、労働力人口の減少、廃業企業の増加、社会保障費の増嵩等を招き、マクロ経済的には、マイナス要因に働く。足許、投資や消費も控え目になる可能性がある。しかも、総人口底打ちの見通しもあやふやである。経済界としては、強い危機感をもたなければならない。

しかし、同時に、第4次産業革命の中、AI、IoTなどを通じ、すでにイノベーションが広がっており、今後、各産業、生活分野で加速する。産業構造の変化も促される。その中で、若年層の教育も進み、女性、高齢者雇用も増え活性化されると、労働生産性の向上、成長率の上昇等から1人当たりの生活水準が引き上げられ、より快適な生活空間が実感できるようになる可能性も濃い。

とてつもない大きな変革期を迎えている。埋没するか、発展するか。ChangeをChanceに活かせるかどうか、人口減少(高齢化)を奇貨として、デジタル社会に挑戦、「総人口減少下での経済発展」を実現できるかどうか、が厳しく問われている。想定以上のAI時代が訪れるかもしれない。超長期に考えなければならない難しさもある。      

北部九州経済圏においても、人口減少(高齢化)が著進する。まさに待ったなしの危機が到来しているといえる。ただ、NBRには、幸い、九州新幹線西九州ルートの開通という絶好のチャンスが訪れた。縁の深い福岡、佐賀と認識を共有し、将来のリニア中央新幹線開業効果(スーパー・メガリージョン誕生)も視野に、「北部九州経済圏、新しく(NEW)輝く(BRIGHT)地域(REGION)、NBR」を構想してみた。「内外交流経済の拡大」と「経営体質の強化」を通じ、「豊かで快適な生活空間」を実現、中期的にNBRが発展していく中で、長崎の将来像を考えることができないか、と思うに至った。

北部九州各経済地域の歴史、自然環境、経済状態等が異なり、一概に検討が進まないことは十分承知の上で、長崎経済同友会から、NBRにつき、その構想の背景と目的を概観し、そのあと、目標とそれを実現するための施策を提言することにしたい。「総人口減少下での経済発展」を展望することで、何としてもNBRの将来不安を払拭したい。

福岡、佐賀両経済界の理解が得られ、共同して中央経済圏に対峙できるNBRのメガリージョン形成の将来像に向け議論を深めることができれば幸いと思う。

 

(1)基本目標                                                              

 @中央経済圏に対峙できる独自のメガリージョン形成

 A東アジアとの交流のゲートウエイとなるメガリージョンの形成

(2)数値目標                                                                    

 @NBRにおける人口の社会増(福岡のダム効果を期待)

 A内外交流人口の現状比5割増

 B1人当たり所得水準の3割増

(3)諸施策−3次元の「快適空間世界」の実現

 @内外交流経済の拡大

  新たな産業集積の再構築

  国際観光文化都市の確立

 A経営体質の強化(付加価値・企業価値の向上)

 B豊かで快適な生活空間」の実現